あなたがアスペルガーなら、ありがとうと言っておけ

セラピスト養成スクール、広尾88アカデミーのアズ直子です。

 

「あなたがアスペルガーなら、ありがとうと言っておけ」という話。

 

2016年8月5日、

群馬県館林市の館林高等特別支援学校で、

講演をさせていただきました。

 

この日のご依頼は面白く、

 

午前中は、保育園や小学校など、

比較的年齢層の低い子どもたちを担当する先生方へのお話を。

 

そして午後は高校生を担当している先生方へのお話。

 

2本立てというパターンも珍しいのですが、

対象を変えて話分けるという経験が面白かったです。

 

いままでも、当然講演会の趣旨によって毎回内容は変えていますが、

1日のうちに2パターンは、

違いがはっきりと私も意識できて興味深かった。

 

年頃によって困っていることが、

当事者も周囲で支える家族や先生も全く違ってくるのです。

 

そしてスライドは全く変えずに話分けます。

 

私が何を話したいかよりも、

相手が誰か、これが大事なのです。

 

さて、人前でたくさんの話をしてきましたが、

 

学校でお話をする場合、

実はこれまで仕事の話はあまりせずにきました。

 

本を書いたときやテレビ出演したときにもそう感じたのですが、

仕事の話をすると、自営業ということもあり、

どうしてもお金のにおいがします。

 

大切なことなのに、

それがあまりいいことではないというムードがあることが、

日本の特徴だと思っています、

 

そして、学校に通う年頃の子どもや親をターゲットにすれば、

目下困っていることは、学校生活の中で起こることなので、

ご商売での現場の知恵はあまりニーズがありません。

 

 

ところが、こちらの高等特別支援学校では、

お仕事の話をとても喜んでいただくことができました。

 

ひとつは、会場に来てくださっていたのが圧倒的に先生方が多く、

そして忙しくてたまらない、

たくさんのことをこなさなくてはいけない、

過酷なお仕事の現場での悩みもあるということを、

事前に知らせていただいていたから。

 

生徒さんたちのためのことと合わせて、

先生方の気持ちが楽になるような話をしようと思いました。

 

地域での就職を控えている子どもがいるこということも、

お仕事の話が役立つということで、私にはとても励みになりました。

 

主にお伝えをしたのは、

一度にいくつものことをやろうとするマルチタスクは、

子どもにとってだけではなく、

先生方にとっても苦しいことなのではないかということ。

 

本当なら、勉強を教えることに専念したいのではないか、

まるで人を育てる教育業ではなく、

サービス業のようになってはいないかという話。

 

そして、自分についても他人についても、

あまりにも個性や心情を考えすぎると、

どうにもうまくいかないことが多いのではないか。

 

ルールはルールだから守る。

それだけの方がシンプルで効率がよい。

 

先生、しっかり指示を出してあげてくださいとお話しました。

 

例えば、「人間関係で困らないよう、ありがとうと言っておきなさい。」など。

 

腹の中で何を考えていても、

「ありがとう」と言っておけば、その場で人間関係が破綻することはない。

 

腹が立つようなときは、

誤解や行き違いであること、その場の激情であることも多いのだから、

 

「ありがとう」と言っておけば、

自分にも誤解を解いたり、落ち着いたりする猶予を与えられるという話。

 

もしも職場で、何があったとしても、

怒り狂って手でも出せば、

そこには二度といられない、いられたとしても腫れ物を扱うようにされ、

いずれは去っていくことになる。

 

それを嫌というほど経験してきたので、

これから社会に出る人には心からそう教えたいのです。

 

自分の立場や生活を守るために、

「とりあえず、ありがとうと言っておけ」と。

 

仕事をしているときは、本当の気持ちなんてどうだっていい。

まずはそのお仕事、できるようになることが大事です。

 

まして、空気の読めないアスペルガーなら、

はじめはたくさん迷惑をかけるはず。

 

仕事に慣れて、貢献できるようになるまで、

だまって、コツコツ働くことが大事です。

 

もしもそこがブラック企業で過労死するのが心配でしょうか?

では客観的に家族や支援者が、

帰宅時間や休憩時間、仕事内容などを確認すればいい。

 

新人で、緊張して、混乱していて、疲れている本人に、

正しい判断なんてできるもんか。

どんなにいい会社や社長のことも、

くそみそにいう人をたくさん見てきました。

 

おそらく、傾聴なども学び、

私のようにハンディを持つ人たちに寄り添ってきた先生方ですから、

私がうれしくなるようにお話を聞くことも上手なのでしょう。

 

それでも、いつもはしない仕事の話を、

「本当に役に立つ」「うけていた」と言っていただけたことは、

とてもうれしいことだったのです。

 

ハンディがあるのに、不器用なのに、

がんばって、家族に支えられて幸せになれたアズ直子さん。

 

これは私が全然望まないキャラ設定ですが、

いつも求められるのはこの姿です。

 

ハンディがあるけれど、不器用だけれど、

家族をないがしろにしてまでがんばって、

立派な商売人になれたアズ直子さん。

 

こちらでいたいし、現実はこっちです。

 

次に本を書くときには仕事の話を書きたいです。

「アスペルガーだからできたシンプル確実な仕事術」

 

それを全国の学校で話します。

待っていてください。

 

 

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