【こよみすと】山代温泉 ぐるりと歩く「湯の曲輪(ゆのがわ)」

山代温泉は、石川県の加賀市に位置し、山代・山中・片山津からなる加賀温泉郷の中でも最大の温泉地です。1300年の歴史のある古湯で、壮大な時の流れを感じさせると同時に、そこで暮らす人たちの生活感や、ここを慕って集まる湯治客の思いなど、ささやかな願いや祈りが随所に感じられる場所でもあります。

 

決して大きくはない街中をゆっくりと歩くと、忙しい生活で心身に溜め込んでしまった疲労感や雑念が剥がれ落ち、様々なことにはっと気がつく感性が蘇ってくるようです。今まで気がつかなかった光、音、香りなど、山代温泉独特の癒されるそれらのエネルギーに満たされていくのです。この感覚こそが、北大路魯山人や与謝野晶子などの文人が山代温泉を愛してやまなかった理由なのかもしれません。

 

山代温泉の歴史は奈良時代から始まりますが、江戸時代の温泉郷は「総湯」と呼ばれる共同浴場を中心として、その周囲を旅館が取り囲むという街並みになっていました。湯治客は総湯での湯あみやその周囲の自然散策などを楽しんでいたのです。こうした街並みを北陸では「湯の曲輪」と独特な表現で呼び、この地の温泉文化となっているのです。山代温泉は近年観光整備が進み、地元の人にも日常的に親しまれている実用的な「総湯」と、明治時代の建物を再現した「古総湯」を中心に、今でもこの「湯の曲輪」が昔ながらの風景として保たれています。

 

 

 

 

 

 

もう少し詳しく、現在の山代温泉の「湯の曲輪」の楽しみ方をご紹介してみましょう。

 

 総湯や古総湯があるところを輪の中心と考えると、そこには魅力あるスポットがギュッと集まっています。八咫烏が守る足湯、泉質の異なる総湯や古総湯の入り比べ、特にステンドグラスの光が湯面に落ちる古総湯での湯あみ体験はさながら明治時代へのタイムトリップです。紅殻格子が印象深い茶店「はづちを楽堂」で山代スイーツを楽しみ、色鮮やかな九谷焼を眺めるなど、フォトジェニックなものが集中しています。

 

 

 

 

 

足湯のあたりから南東から東側にかけては緑豊かな高台が見え、神木で有名な服部神社、薬王院温泉寺、明覚上人の五輪塔など、信仰の拠り所が集まっています。山側は神様の居場所、「聖域」というイメージです。

 

 

 

 

 

 

そして総湯・古総湯を扇の軸と考え、南東の山側を上とすれば下に向けて広げたように温泉街が北西側に扇状に広がります。高いところから、大聖寺川が流れる低地に向けて扇が広げられたような街並みは地図を見ているだけでも引き込まれます。

 

 

 

 

 

 

 

街中には、清らかな水が湧き出て、「女生水(おんなしょうず)」「男生水(おとこしょうず)」として大切に守られています。「女生水(おんなしょうず)」から「男生水(おとこしょうず)」にかけて、女生水商店街と温泉通り商店街が続き、老舗和菓子店などの人気店が軒を連ねています。

 

 

 

 

 

 

じっくり回れば、あっという間に数時間経ってしまうほど、実は見所の多い山代温泉を、魚が回遊するようにめぐる楽しみをぜひ味わってみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

(執筆)

アズ直子   著作家・講演家

北京への留学経験、家族の中国駐在生活により中国文化に親しむ。1993〜95年に政府からの派遣により北京に留学。北京ローカル誌の取材や執筆活動によりより深く文化に触れる経験をする。帰国後、現役の占い師に師事して占術を修め、カルチャーセンターなどで講師を務める。渋谷区広尾を拠点にセミナー会社を運営。テレビ出演はNHK、日本テレビ(ザ・世界仰天ニュース)など。いずれもアズ直子特集番組。

(監修)

天王地広隆   株式会社こころ旅代表

山代温泉出身、北陸(石川・福井・富山)から全国へ。30年超の添乗員経験を経て、旅行会社を設立。白山信仰を中心に神々が集まる北陸で生まれ育ち、開運旅行やパワースポット案内を企画。「北陸こよみすと」を担当しつつ、講師として、暦と旅の専門家”こよみすと”を全国に育成。

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