【発達障害】話を聞く勇気

「発達障害は遺伝性が強い」とよく聞きますが、私の家系について考えてみるとそうかもしれないと思えます。父は理系の研究職で、とても言葉が少なくつきあいづらい人でした。今思うとアスペルガーの傾向がとても強いように思います。母は快活でよく働く人ですが、こちらも今思うとADHDの傾向が強く、それは話し方によく現れていると感じます。母方の祖父は造園職人だったので、発達障害者に職人気質の人が多いことを考えると母方の家系にもその気配があったように思います。

 

父と母はもしかしたら、変わったところがあるもの同士が惹かれあった夫婦だったのかもしれません。そして生まれた私にも、アスペルガーと診断がつく、個性の強い気質が備わりました。

 

今日は、そんな母についての出来事です。

 

母とのコミュニケーションは昔からあまりうまくはいっておらず、それは母の話し方が、思い込みが強く、混乱をすると何度も同じことを繰り返し、そして話があちらこちらに飛ぶ。振り回される感じの話し方だから。

 

母の話し方が自分にとってプレッシャーの元なのだと気がついたのは最近のことで、振り回されない工夫をするようになってからだいぶストレスが軽くなりました。同時に子どもの頃の自分がかわいそうにもなりました。毎日この話し方に苛まれていたのですから。

 

こんなことがありました。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響が色濃くなりはじめた頃、「俳句の稽古のことで相談がある。」と母から連絡が入りました。電話で事情を聞いてみると、「俳句の会がテレワークになるから、手伝ってほしい。」と。母本人がパソコンはおろか、タブレットも使いこなせていない状態なので、これは大変な手伝いになると思いました。

 

私の感覚で「テレワーク」と聞くと、オンライン講座でも受講するのかなというイメージで、実家にもWi-Fiを整備しないといけないのか、母にタブレットの使い方を教えに、感染リスクのある中実家にタクシーで行かなければいけないのかなど、頭を悩ませました。母にはその後は何を聞いても、「テレワークだから!」「テレワークだから!」とらちがあきません。

 

確認を繰り返しても、どうも話の辻褄が合わないので、俳句の会に私が直接問い合わせをしてみると、なんのことはない、単純に俳句をメールで提出し、添削もメールで受け取る、それだけのことだったのです。メールで済ませようという話を、誰かが洒落て「テレワーク」と言った言葉を母はそのまま受け取ったのでしょう。

 

全然テレワークじゃないじゃんと、どっと疲れました。

 

そして気がついたことは、母は混乱をすると、「テレワーク!」「テレワーク!」のように、引っかかる言葉を連呼する癖があるのです。知らない言葉「テレワーク」について、想像を掻き立て、ああでもないこうでもないと弾丸トークを炸裂させます。思うに、私が子どもの頃から困ったときの様子はいつもこうでした。

 

多分、喋りまくることで心を落ち着けているのだと思いました。

 

最近、母も後期高齢者となり、生来の気質に老化による混乱も加わりさらに手強くなりました。電話で話すだけでもこうした「混乱弾丸トーク」が増えているように感じます。

 

 以前の私はこうしたシーンを真正面から受けて、「何を言っているのかわからない!」や「ごちゃごちゃ言わないで!」と、混乱返しをしてしまい、話が決裂することがほとんどでした。

 

 「混乱した気持ちを鎮めるための弾丸トークだ」と気付いてからは、大変根気がいることなのですが、母が騒ぎ終わるまでじっと聞いていることにしました。騒ぎ終わると、ため息をついて「どうしたらいいかわからない」と締めくくるので、それから「ちょっと調べるね。」と間を置いて対策することにしたのです。それで解決することもあれば、再連絡になることもありますが、話が決裂して嫌な気分になることはなくなりました。

 

 もしもこれが仕事なら、ビシャっと「何を言っているかわからない!」と打ち切ってしまうところです。でも、母との会話は、効率よく物事をかたづけるよりも、母の気持ちを落ち着けることが目的なのだと最近思えるようになってきました。愛情ある家族にでなければできないことです。でも、それがしたいと私自身が望んでいるのです。

 

 発達障害を持つご家族が、同じような「混乱弾丸トーク」を繰り広げるとき、私のこんな経験がもしも役立つなら幸いです。話を聞く勇気を持つことで、用事はかたづかないけれど気持ちは落ち着く。ただそれだけでも、争うよりはずっといい結果なのです。

 

 

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