”発達障害”をテーマに本を書いたら、何だか説明責任のようなものが生まれてしまったのか、「発達障害って何ですか?」という質問を受け続けています。
私になりに編み出したわかりやすい説明は、「生まれつき脳に人と違うところがありまして、心も体もとても過敏です。」としている。そして「ご心配やご迷惑をおかけすることもあるかもしれません、自分でも気をつけます。」と言い添えておけば、嫌な印象を与えることはないと思っています。
よくある失敗は、「わかってほしい!」という思いが先走り、喋り過ぎてしまうなど相手にプレッシャーをかけすぎること。もちろん学校の先生や地域の方などには、よくわかってもらう必要があるけれど、変なのと出会ってしまったと不安でいっぱいなところに全てを受け止めるのは無理。簡単な自己紹介からはじめ、徐々にわかってもらいましょう。
そして思いがいっぱいの人にありがちなのは、相手にわからない専門用語でまくしたててしまうこと。よく勉強しているからそれも仕方がないのだけれど、これから助けてもらいたい相手に対してハードルを上げすぎるのは避けたいところです。
専門用語って、難しくてよく変わる診断名のようなものだけれはない。厄介なのは、関係者が専門用語だと思っていない言葉が、発達障害に興味のない人にとっては良くわからない難しい言葉というライン。例えば「多動」、「音過敏」、「興味の幅がせまい」など。発達障害の子どもがいる親同士の話など、知らない人が側で聞いていたら、かなりの部分何を言っているかわからない。それはアニメオタクが独特な言い回しで話すのに似ています。
私も日々、相手にわかる言葉で説明する努力を怠らない。「相手にわかる言葉」だから、簡単な上、相手によって変えたりもする。主婦には主婦に、学生には学生にわかりやすい言葉。こんな時に日本国民誰でも知っている例えが見つかるととても便利。例えばADHDを説明する時に、私はこのように言っています。
「サザエさんのひどいヤツです。」
お魚くわえたどら猫を裸足で追いかけてしまう、お財布忘れてしまう。この衝動性とうっかり具合は、ADHDの特徴に合っているし、何よりも聞いた全員がイメージしやすい。人は自分が見たことがあるもの、経験したことがあるものでしか新しいことには近づいていかれない。見たことがあるものとして、サザエさんやドラえもんなど国民的キャラクターを例えにするのはとても便利です。
ちなみに一般的な説明は下記のような感じ。
発達年齢に見合わない多動‐衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が、7歳までに現れます。学童期の子どもには3~7%存在し、男性は女性より数倍多いと報告されています。男性の有病率は青年期には低くなりますが、女性の有病率は年齢を重ねても変化しないと報告されています。引用元:厚生労働省ホームページ
先日、ある講座でこうした相手にわかる言葉の調べ方を学んだ。そこで「コミュニケーション障害」という言葉が例となり詳しくその意味を見たのだけれど、何と「コミュニケーション障害」が起こる原因に”アスペルガー”とはっきり書かれていました。ちなみに「コミュニケーション障害」というより、「コミュ障」と言った方がわかる人が多いそうです。私は講演会などで「コミュニケーション不全」と表現していたけれど次から「コミュ障」に変えて話そうと思います。
説明の順番にも工夫ができる。「アスペルガーとは・・」から始めるより、「特徴の一つがコミュ障なのですが・・・。」と始めた方が人には通じやすいはずなのだそうです。
私がこうした工夫に違和感なく取り組めるのは、海外生活経験が影響していると思います。北京と上海で暮らしたけれど、北京の学生寮には200カ国からの留学生がいて、何語で話そうかから始まるし、お互いの言語レベル、文化背景なども違うから、分かり合えない前提で丁寧に話をします。大事な話は誤解がないか確認を何度もとる。自分が知らない言葉、相手が知らない言葉も常にあるので、”言い換え”の努力が日常的でした。その癖づけは今とても役に立っています。高校生になる娘にも留学をさせたのは、英語が話せるようになる以上に、こうしたコミュニケーション能力を磨いて欲しかったからです。
コミュニケーションは一撃では上手くいかない。小さなことの積み重ね。ぜひサザエさん作戦も試してみてください。
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