【発達障害】優しいマナーは残って欲しい 

 発達障害の影響で、私の五感はとても過敏。ちょっとした音、光、匂いなどに反応し、とても驚いてしまったり、苛立ってしまったりします。ひどくなると、体調を崩すことまであります。私が小学生になった頃、よく頭痛や嘔吐を起こして早退をしていましたが、原因は学校内に漂う絵具や給食の匂いでした。全ての感覚においてそんな過敏さを持っている。おそらくは多くの発達障害者がそうなのではないかと思っています。

 

 2020年年初から、新型コロナウイルス感染拡大が大変なニュースになりました。できるだけ人の行き交いや接触をなくそうと、ゴールデンウイークは、“ステイホーム週間として在宅が強く呼びかけられまました。そして、飛沫感染を防ぐために、”ソーシャルディスタンス“という言葉が使われるようになり、人と人との距離は2メートル以上取ることと明確に規定をされるようになりました。

 

 くしゃみや咳が人にかかると感染の原因になるので、マスク着用は当然のマナー。以前は花粉症などが原因で、大きな音で咳やくしゃみをしている人によく遭遇しましたが、そうした様子にたくさんの人が厳しい視線を向けるようになり、明らかにみられなくなりました。

 

 スーパーなど混み合う場所は、入れる人数が制限されるようになり、レジに並ぶ時にもやはり2メートルの感覚が求められるようになり魔した。近所のスーパーではわかりやすく床に目印がされています。お客同士も、接触が起こらないように場所を譲り合い、距離感を保とうとするようになりました。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大は、経営者である私にとっても大きな課題をもたらす出来事で緊張感の高い日々を送っていることに多くの方々と変わりはありません。身内には体の弱い高齢者や障害者もいますから、一日も早い終息を願っています。感染した方や亡くなった方がいらっしゃることには激しく胸が痛みます。

 

 ただ、いくつもの失敗やそこから起きるトラブルを乗り越えてきた経験を振り返ると、今の状況でとても助かっていることは「孤独感」が全くないことです。日本中、世界中の人が同じ苦難にあっているので、困っているものどうし、助け応援し、気遣う空気がむしろ私には温かくうれしく、できればずっと続いて欲しい。一人で困っている時の孤独感や、一人で困り他人に迷惑や負担をかけている罪悪感がありません。

 

 そして、感染拡大防止のために多くの人が守ろうとしているマナーは私のようなハンディがあるものにとっては助かるマナーばかりです。私の過敏さは変わらないのですが、咳やくしゃみの大きな音に驚くことが今はありません。人混みに気分が悪くなることもありません。在宅が強く推奨されているので、「引きこもり」とも言われかねない私の在宅生活が問題視されることもありません。

 

 大きな音で咳やくしゃみができる、自由な空気が帰ってくることを心待ちにしている人もいらっしゃるのかもしれません。スーパーも飲食店も、数多くのお客様が来てくれるほうがお仕事がうまくいくことももちろん理解しています。たくさんの人による経済活動、そして賑わいは素晴らしいこと、幸せなことです。

 

何らかの形で人に優しいマナーも残りますように。社会が正常化する上でそれを願います。

 

 

 

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