アスペルガー経営者のアズ直子です。
「遅刻」について連載しています。
私は「注意欠陥障害」の傾向が強く、
もともとは遅刻の常連で、
自分自身も、焦ったり慌てたりで辛く、
またいつも罪悪感にも苛まれていました。
遅効が原因で、つかみそこねたチャンスもいくつかあります。
それから、
自分が講師をつとめたりオフィスを開設して、
どちらかというと、
”人を待つ立場”になると、
今度は、「人の遅刻」が気になり始めました。
「自分ができるようになったとたんに人を責める」と言わないでください。
私だって今でも時々失敗して遅刻します。
完全に克服できたなんて思っていません。
それから「責める」というよりは、
自分が嫌な思いをして、
はじめて自分自身の遅刻も「直さなくては!」と強く思った、
そのプロセスをお伝えしたいのです。
私は、自分自身が遅刻を克服したい立場と、
なんとしても人様にも遅刻を直してほしい立場を合せ持っているのです。
「遅刻癖をなんとしてでも直したい」
「もう2度と遅刻をしたくない」
この気持ちが、人から言われたからではなく、
お腹の底から実感できない限り、
遅刻は絶対に直りません。
どこかで、
「自分は遅刻をしてもいいんだ」
「遅刻なんて直すべき事ではないんだ」と思っているから、
どんな工夫をしても、人の応援を受けても直らないのです。
私が抱いていたそんな気持ちを思い返すとこんな感じです。
・私は遅刻をしても仕方のない発達障害者だからいいんだ。
・私が遅刻をすると「かわいい」と思う人もいるからそれでいい。
・私が遅刻をしても大人数の中のひとりだから構わない。
・私が遅刻をしても何も損をすることはない。
・私は遅刻をしても許される重要人物だ。
・私を出入り禁止にできないくらい、お金や集客の頭数に困っているから大丈夫。
・どうせ相手も時間に余裕を見ているから大丈夫。
・交通渋滞や体調不良など、言い訳はいくつでもあるから構わない。
・まじめにつきあわなくても、顔だけ見せておけばいい相手だから遅れてもいい。
・私は仕事で忙しいから、遅れても仕方ない。
ものすごく嫌な感じですが、
突き詰めて考えていくと、
絶対に何かそこを最優先できない理由があって遅れているのです。
「受験」なら絶対に遅れません。
飛行機に乗り遅れないためなら遅れません。
なんとか痛みを鎮めたい病院の予約でも遅れません。
自力で無理なら、
人に迎えを頼んででも(実際に頼んでいますが)、
遅れないように手を打ちます。
アスペルガーは自分の気持ちにも率直なので、
納得できない事や、心からやりたいと思わない事にはなかなか行動が伴わない。
強い悪意があるわけではないのですが、
「最優先できない理由」が自分の中にある限り、
そもそも時間管理が苦手な私が、遅刻をせずに過ごせるわけがないのです。
こんなよくない気持ちを抱えていた私がどうして、
「遅刻癖をなんとしてでも直したい」
「もう2度と遅刻をしたくない」
と、決意することができたか。
それは、他人の遅刻に本当に腹が立ったからです。
それもひとりやふたりではありません。
類は友を呼びますから、
遅刻を悪い事だと思えなかった私の周りには、
似たような人が集まり、
何度も何人にも遅刻をされ、
他人の遅刻をなくす対策や、
遅刻されたときの対策に疲れ果てました。
本当に嫌。
本当に迷惑。
もう何も頼みたくない、
来てくれなくてもいい、
友達でいたくない・・・と私も思われていたんだ!
・・・ということが分かったのでした。
読んでいてすごく嫌な気分になる文章だと思いますが、
この先にもうひとつ展開があるのでご辛抱下さい。
遅刻なんてくだらない理由でこれ以上人に嫌われたくないから、
絶対に遅刻を直そうと決意したのとは別に、
もうひとつ違う決心が生まれました。
どうしても遅刻をしてしまう程度の催しにはもう行かない、
人との約束もしない。
注意欠陥障害の傾向が強いと、
時間管理や物事の優先順位をつけるのが苦手なので、
興味のむくまま予定を入れすぎて、
オーバーワークになっている事がよくあるのです。
約束自体が多すぎる。
1日に3つも4つもアポがあり、掛け持ちするなかで失敗が頻発する。
「気をつけなくても遅刻をしないくらい、
行きたい予定にしぼりこむ」
一番大切な結論はこれなのです。
私との約束に遅れる人には、
遅刻そのものを憎むというより、
同病として、
「最優先できない私など早く見切って、
本当にやりたいことに専念した方が早く幸せになれるよ。」と強くお伝えしておきます。
次回より、
本当に遅刻をしたくないときに役立つ方法を、
細かいことも含めて、
具体的に書き起こしていきます。