【こよみすと】東京龍脈案内 黒湯の威力に病みつきになる! 

 発達障害の影響で、私の五感はとても過敏。ちょっとした音、光、匂いや寝心地などに反応し、眠れなくなることがしばしばあります。6才の頃から不眠症なので筋金位入りです。

 

 最近、仕事の関係で北陸の達人と呼ばれる旅行会社社長と知り合うことができました。一度、白山信仰で有名な、石川県白山市をご案内いただいたところ、滝などの雄大な自然、ダイナミックな神社、清らかな湧き水など、東京ではまず味わうことができないパワースポットに圧倒されました。神様は確かにいらっしゃる!と思える体験だったのです。

 

 そして不思議な事もあるもので、その頃からよく夢を見るようになりました。強烈なインパクトがあった滝や湧き水。あの轟音、あの冷たさ、本当に澄んでいて美味しくて、“水のにおい”を確かに感じることができたあの経験。その風景が断片的に夢の中に出てくることが幾度かあり、ある日、こんな言葉が夢を見た後、頭の中に残っていたのです。

 

 それは、「く・ろ・ゆ」という言葉。目覚めてしばらく考えて、耳慣れない言葉だったので、インターネットで調べてみると、出てきたのは「黒湯」。秋田に黒湯温泉という温泉があるそうなのですが、それ以上に目を奪われたのが、東京都内に、真っ黒な温泉が湧くという情報でした。

 

 東京にはたくさんの温泉が湧いており、多くは銭湯として長く親しまれています。特に多いのが田園調布、蒲田、羽田空港などがある大田区です。そのお湯は真っ黒で、地域差はありますが、蒲田などはお湯の中の手も見えないような漆黒の湯。子どもの頃にも、もう内風呂がある家庭で育ったので銭湯に行く経験もなく、まして真っ黒な温泉が東京名物だとは知りませんでした。

 

 この黒色の正体は、海底に積もった「藻」の化石で、何万年、何億年をかけて堆積したものが流れ込んだ温泉が、数百メートルの掘削によって私たちの目の前に現れているということ。黒い温泉はまさに海の力。海洋性の温泉です。東京は昔々、大部分が海の底でした。ですから、現在も海に近い大田区などにたくさん湧き出てくるということになるのです。そのほかの地域も黒湯が出ているのは大抵低地です。昔は水底だった名残なのです。

 

 夢のお告げに導かれ、そして私はとても真面目な性格なので、きっと「黒湯」には何かあるのだろうと、都内の黒湯を調べリストアップし、そして夜な夜な巡るということを始めました。その数は1ヶ月で20箇所を超えました。

 

 黒湯に含まれる「藻」の化石のことをフミン酸といい、ミネラル成分がたっぷり含まれているのが特徴です。一度浸かると肌の汚れは根こそぎ落とされ、手のひらなどは粉吹いたようになります。脂肌や角質が気になる方にはうれしい泉質です。黒湯には個性があり、この吸着力に加えて、とろとろとしたとろみがあるお湯もあり、それはまさに浸かる美容液です。黒湯には美肌フリークが通うというのもうなづけます。大変温まり、30分以上冬の戸外に出ても寒さを感じません。温まるおかげか大変深く眠れるようになり、不眠症が解消しました。

 

 その他にも不思議な発見がたくさん現れる黒湯。黒湯はまさに、東京の龍脈と言える、地下エネルギーなのです。

 

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