アスペルガー症候群と2009年に私は診断を受けていますが、その特性として「こだわりが強すぎる」ということが挙げられます。この服でなければ嫌、この飲食店でなくてはダメ、この人と一緒でなければ行動できない、移動などの際にこの道のりでなくては納得できない・・・・重要度の高いことから、些細なことまで、「どうしてそんなにこだわるの?」と周囲の人を当惑させるほど、何かにこだわってしまうのです。
「どうしてそんなにこだわるの?」
色々な理由がそこにはあると思うのですが、思いつく限りを挙げてみたいと思います。
それでなければ耐えられないから
発達障害がある人の多くは、身体に”過敏症”を抱えています。音に過敏、光に過敏、においに過敏、何かが身体や肌に触れる触覚過敏など、生まれつきの感覚過敏なので、そのストレスに本人が気がついていないこともあるのですが、例えばマスクをしてみたら、におい過敏が緩和されて頭痛がおさまったなど、対策を取ることができれば大変楽になる部分でもあります。
「この服でなければ嫌」というこだわりが、実は「この服でなければ苦しいから」など、感覚過敏によるものであることがあります。「この席でなければ落ち着かない」という訴えが、実は「この席でなければ眩しくて仕方がないから」という光過敏によるものだったということも考えられるのです。
過敏症があっても大丈夫な選択肢が、「それでなければ耐えられないから」という”こだわり”だと他人の目にはうつることもあるのです。
人が気がつかない細部にまで気がついているから
これも”過敏症”に由来することなのかもしれませんが、言い換えれば、聴覚や視覚、嗅覚、味覚、触覚など、五感が鋭いセンサーを持っているので、良くも悪くも人が気がつかない細部にまで気がついて、それを好んだり、嫌ったりしているのかもしれません。
「この服でなければ嫌」というこだわりが、実は他の人は気がつかない色彩の違いを、美しいと感じて選んでいるのかもしれません。「このお店の料理でなくては嫌」というこだわりが、料理人が仕込んだ繊細な”隠し味”を、とても喜んでいるということなのかもしれません。
ちょっとした色の違いを、赤と青の違いくらいに大きく感じていたり、ちょっとした味の違いを、甘口と激辛くらいに大きく感じているのかもしれないということです。
先行きがわからないことが不安でたまらないから
過敏症を抱えているために体調不良などへの不安が絶えなかったり、人と価値観や行動パターンがずれていることが多いので、良かれと思ってしたことでひどく叱られてしまったなどのトラウマをたくさん抱えていたりして、発達障害者は「先行きがわからないことが不安」を強く感じていることが多々あります。
いくら、美味しい、この土地の名物だと言われても、「もしかしたらお腹を壊すかも」という先行きへの不安で、なかなか手が出ないということがあります。何度も食べて大丈夫だったものなら、食べた後の感覚なども予測がつくので安心をして食べられるのです。
近道を行こうと言われても、通ったことのない道は、景色などの予測がつかないために、不安で進めないことがあります。どんなに回り道でも、どのくらいの距離で、どんな景色で、どんな店があるかを熟知していれば、安心をして進めます。
こんな気持ちが、「この飲食店でなければ嫌」、「この道でなければ嫌」というこだわりに見えることがあるのです。
言葉をそのまま受け止めるから
「その服、似合っているよ。」
「ここのお店は美味しい。」
「この目的地に行くなら、この道順。」
言葉をそのまま受け止める癖があるので、言われた通りにしていることが、ワンパターンが過ぎると”こだわり”と思われてしまうのでしょう。ハンディのない人なら、「素敵な服でも、季節が変われば違うものを着る」「美味しい食べ物でも、何度も食べれば飽きる」など、臨機応変に考え、新鮮なものに移行をしていくことができるのですが、それができないから違和感を生んでしまう。本人にしてみれば、「この間はOKだったのに、どうして今回はダメなんだろう?」と不思議に思うばかりです。
そして、記憶力が異様にいいから。
いいことにつけても、悪いことにつけても、感覚過敏も関係をして「記憶力が良い」ことも、”こだわり”に深く関係していると思われます。
「この飲食店でなければ嫌」という気持ちが、実は相当に前、このお店でいい思いをしたことに由来していることがあります。それも、普通の人なら忘れてしまうような、小さなことにでもです。「このお店には入れない」という気持ちも、かなり昔に味わった嫌なことを、昨日のことのように覚えているから、どうしても嫌なのでしょう。
発達障害の中でも、特にアスペルガー(現在の診断名は「自閉症スペクトラム」)は、ネガティブな記憶の排出が苦手だと言われています。ハンディのない人にとっては、「どうでもいいこと」が強烈に頭の中に残り続けるので、それが”こだわり”だと周囲の人には捉えられるのかもしれません。
もしも、発達障害者の”こだわり”を解除したければ、こうした理由にまずは気がつくと対策が見えてくるのではないでしょうか。
それでなければ耐えられないのであれば、
大丈夫な候補を他にも探す。人が気がつかない細部にまで気がついているからであれば、
そのレベルで他の候補を探す必要があります。先行きがわからないことが不安でたまらないからなのであれば、
不安を解消することが必要です。言葉をそのまま受け止めるからであれば、
新たな言葉を考え使う必要があるでしょう。記憶力が異様にいいからであれば、
これはその記憶を受容できるように受け止め方を変えていく必要があります。
こればかりは時間がかかり、私にとっても大きな課題となっています。
私自身もに、「ここでなければ嫌」というカフェがあります。
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