起業をして20年以上が経ちました。ちょうど、娘が生まれる前年に個人事業主として起業をしていますから、子どもの成長と共に私の仕事は歩んで来ています。
発達障害の特性が、会社に勤めて働くということにどうしても合わず、どこに勤めても続かず、最後に妊娠がわかりリストラされた時点で、私は「会社に勤める」ということを完全に諦めました。この働き方を続けても絶対に幸せになれないと確信を持ってしまったからです。そもそも勤めに向いていない、さらに赤ちゃんを抱えたら絶対に無理、でも社会参加をしたい。
どうしてそこまでして「働きたい」と思ったのか。
たくさん勉強をして来た、留学までした。その努力を「仕事ができる人になる」ということに結実したかった。
自分の力で生きていかれる人になりたかった。家族に頼らなくても生きていかれる。むしろ自分が支える側になりたい。
学生時代から、自分の力でお金を貯めては欲しいものを手に入れて来た。運転免許も、海外旅行も、そして留学も、アルバイトに励んでは誰にも文句を言わせずに手に入れて来たので、「自分のお金」を手にいれることが欠かせないことという価値観が出来上がっていた。
ただなんとなく仕事をしたいと思うだけではなく、これほど強烈に「仕事をしたい」と願う私にとって、どこに行っても仕事が続かないことや、職場の人と上手くいかないことは、大きな課題と感じられました。情けなく、悔しいことでした。
何をするにしても、強い動機があるということは支えになります。「発達障害があるのに、どうしてこんなに長く自営業を続けることができたのか。」とよく聞かれますが、その答えは「どうしても働きたいと思う理由があったから。」なのだと自分で思いました。
子どもの頃の体験は、人の価値観や行動指針に大きな影響を与えると言いますが、ふとこんなことを思い出しました。
私が小学1年生の頃、ある日自宅に子ども用の百科事典一式が届きました。動物図鑑、植物図鑑、歴史、宇宙など、十数冊のセットだったと記憶をしています。本が好きだった私に、母が良かれと思って買ってくれたのでしょう。ところがそうして届いた本の前で、父が母に怒ってこんなことを言っていたのを思い出したのです。
「誰が金を払うんだよ。」
何十年も前のこんな一言を覚えているのですから、私にとっては強烈なインパクトを残した出来事だったのでしょう。
また、こんなことも思い出しました。
もう少し私が大きくなった後、母がメガネを新調したことがありました。今思うと、そのお金を実家の祖母に借りにいったことがあったのです。4~5万円だった記憶があります。今振り返るとわかるのですが、家計費の他の臨時出費は父に頼まないともらえず、多分、その時に夫婦仲が悪く、頼める状況ではなかったのではないかと想像します。
お父さんに頼まないとお金をもらえないお母さんがかわいそう。
そんな価値観が私に備わり、「自分の判断で、自由に買い物をしたい。」と思った、だからこんなにも働いて収入を得ることにこだわるようになったのかもしれません。物事を一方的な見方で判断することは出来ません。この話は両親に真相を確かめたこともありません。例えば母が浪費家で、父の管理が必要だった可能性もゼロではありません。ただ、お金というものに関して、私の価値観が方向付けられた出来事ではあるだろうと思います。
この体験は悲哀を含んでいるものですが、現在、起業をして20年経ち、様々な試行錯誤を経て持ちこたえてきたことの支えになった体験であることに間違いありません。
スタート時、夫の名義に頼らなければクレジットカードさえ持つことが出来なかった私が、企業と取引をしたり、銀行や不動産の審査を全てパスすることができるようになったことは、「自分の力で生きていかれる人になりたい」という願いが叶っている在り方です。会社で勤めが続かないことを乗り越えて、自分の働く場所を作り出すことが出来たこと、時間も場所も関わる人も、自分で決められる環境になったことに、「続けてきてよかった」という思いでいます。
ただコツコツと続けることで、手に入るものがこんなにあるということも驚きでした。もちろん続ける大変さはありますが、日常生活の中で十分にできる範囲のことばかりなのです。
どうしても働きたいという強い動機を持つことができた生い立ちにで本当によかったと思います。トラウマはいつか糧になるのかもしれないと思えた回想でした。
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アスペルガーと似ている状態には、認知症でも、貧血でも、老化でも、愛情不足でも、教育不足でもなります。薬があるわけではないので、生活習慣や人間関係の工夫など、共通の対策でずいぶん楽になります。私がお伝えする事に、「私と似ている」と思う事がひとつでもあれば、このブログはとても役立つはずですから、ぜひ継続して読んでください
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